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小学校と同じような中学校給食の実施を求める請願に対し、委員会で反対討論をした理由

みなさんこんばんは!

町田市議の矢口まゆです。

 

昨日、委員会にて以下の請願の審査を行いました。

請願者のお二人は、議員たちから多くの質疑を受け(2時間ほど続いたと思う)厳しい質疑もある中でも常に冷静に丁寧な受け答えで答弁をしてくださいました。

意見陳述にいらして下さった事に心より感謝申し上げます。

 

今回、委員会では約4時間の審議の末、賛成少数で不採択とすべきものとされました。

私は反対討論を行いました。

なぜ反対をしてのか、ここでもつづらせていただきます。

 

町田市の中学校給食の利用状況は

A一度も食べた事が無い生徒が81.7%

B利用している、時々利用している生徒が16.4%

C利用していたがやめた生徒が1.9%

となっています。

BとCを合わせた18.3%の生徒が利用経験があり、そのうちで利用をやめたのは1.9%。

これは、利用経験のある生徒のうち約9割は定期的に利用を継続していると言う事です。(予想以上に多いです。ちょっとびっくり)

私は議員になってから初めて中学校給食を食べましたが、非常に美味しいと感じたので、一度食べた生徒はほとんど継続利用している事には納得です。

毎日お昼ごはんに食べたいと思えるレベルでした。

 

 

現在、町田市は栄養バランスに優れた完全給食を実施しています。

完全給食であり、味も良いのになぜ喫食率は低いのか。

(なぜ81.7%は一度も食べないのか)

原因と、それに対する改善策についてまとめてみます。

 

①『まずい』と言う印象を持ってしまっていて、頼む気になれない

→中学校給食がおいしくないと言い署名を集めている団体がありました。具体的には、『冷たい、おいしくないなどの理由で13.2%の生徒しか注文していないお弁当給食です。』と言うような文言のあるチラシを作成し、署名活動をされておりました。それが今回の請願に付された署名です。一部では、美味しくないと言う事を口頭でも話して本請願の署名を求めていたと言う情報もありますが、請願の提出者二名は中学校給食を食べた事が無いそうです。(請願の提出者のほかにも、署名集めをしていた方はたくさんおりますので、請願提出者を責めるわけではありません)

中学校給食を美味しいと感じていたり、美味しくないとは思わず食べている生徒もいるのに、美味しくないと言って署名を集めている所を見たら、給食を利用している生徒はどう思うでしょうか?想像すると私はかなり心が痛みます。これは委員会の審査でも同じような事を述べた議員がおりました。

そもそも、8割の生徒が一度も食べたことが無くて、食べたことのある生徒は9割が利用を継続しているので、冷たくておいしくないから喫食率が低いとは言い切れないはずです。そもそも給食を食べた事のない人たちが、美味しくないと言って集めた署名は本当に正しく民意を反映しているのか、この点も疑問が残ります)温度に関して、9月の決算審査で文教社会常任委員会から意見書が出されております。現在、改善策を考えていらっしゃるとの事なのでその結果を待っているところです。

②給食を取りに行くのに時間がかかるため、給食を頼むと食べる時間が少なくなってしまう。

→この点は、9月の決算審査で文教社会常任委員会から意見書が出されております。改善に向けて動いているとの事なので、引き続きこまめに進捗確認していきます。

③中学校の昼食に関して、基本はデリバリー弁当給食としながらも、デリバリー弁当給食の利用したいと言うひとだけが『利用登録申請書』を記入する仕組みになっており、家庭弁当が“基本”でデリバリー弁当給食が“特例”のような扱いである。

→そもそも町田市の給食は、栄養士が中学生にとって最適な献立を考えております。衛生面もしっかり管理されておりますし、特に夏場なんかは家庭から持参しているお弁当よりも安心できるはずです。

そして、牛乳、おかず、ご飯やパンなどがすべてそろった完全給食です。なので、子どもたちの成長を思うのであれば、栄養士が考えている、この完全給食の注文が基本だと親にもっと伝えていくべきです。

『忙しい時には給食ぜひ使ってください』『働くお母さんには特におススメです』『ひとり親家庭は大変だから…』とかでは無く!!

『栄養士が作った中学生の成長に最適な献立ですし、衛生面でも安心です。何かご事情が無い限りは給食を食べていただく事が良いでしょう』と説明すべきなのだと思います。

それが結果的に親の負担減にもなるよねっていう考え方の方が、中学校給食と言うものの特性に合っていると思います。

中学校給食は、何よりも子どもの健やかな成長のためにあるものですから。

多くの親は子どもが嫌いなものは弁当に入れないし、子どもが好きな味付けにするのだから選択制である限り『家のお弁当が良い。お弁当作って!』

となる生徒が多くて当然です。

なので、保護者の方にも栄養面や衛生面で給食が優れている事をしっかりご理解いただき、子どもの為にも給食を選択すると言う考えを持っていただきたいと思います。(ちなみに、多くの自治体の給食に関するアンケートを読みましたが、小学生よりも中学生の方が給食に対しての満足度が低いことが非常に多い。と言うか、中学生の方が満足度が高いアンケートは見つかりませんでした。中学生になると、量や味の好みに個人差が出やすいとかがあるのかもしれません。大人に近づいている中学生の方が味に対する欲求も高くなるのは分かる気がする…。また後日、多くの自治体のものをまとめようと思っております)

中学生になると、食べる量に個人差が出てきます。また、アレルギーの子もおります。(アレルギーの件に関しては委員会で熊沢議員も話しておりましたが、その点は熊沢議員にほぼ同感です)親が栄養士だったり、栄養学に長けていたら、自分でも中学校給食に負けない栄養価のお弁当を作れると言う事もあるかもしれません。

そういった方の為には、選択制と言う今のやり方は悪くないものだと私は思います。

(完全な全員給食にするなら、アレルギーの対応ができるようにした方がいいですが、アレルギーも様々な種類がありこの点また難しいです。量に関しても、全員給食ならば給食では足りない子のために自宅から捕食的なものを持参OKにするとかの柔軟性は必要だろうなと思います。)

 

途中脱線しながらでしたが、喫食率が低い理由は主に上記の3つかなと思います。

 

そして、現在上記の課題すべてに関して町田市では改善に取り組んでいます。

(そもそも食べたことが無いと言う8割の生徒に対しても、全員で食べる日を作るなどの検討をしたいと言う事を今回の請願審査の質疑の中でおっしゃっていました。議事録まだなので一文字一句同じわけでは無いですがそんなニュアンスの事は確実に言っていました)

 

ここでちょっと財政の話になりますが…。

自治体の財政で、将来への負担がどれだけあるかをあらわす指標である、”将来負担比率”と言うものがあります。

町田市では、この将来負担比率がありません。

多摩26市の平均将来負担比率は、9.1です。

そして、これだけですべてわかる訳ではないですが、こんな感じで調べました。(自治体HPから給食実施内容を調べました)

多摩26市のうち、

A自校方式の市の平均  17.96667(3市)

Bセンター方式(自校式とセンター方式の両方実施も含)、親子方式、の市の平均  11.5  (15市)

C町田市のように家庭弁当と選択式の市の平均  1.2(8市)

これだけですべては分かりませんが、財政負担の多いAが一番将来負担比率が大きく、財政負担の最も小さいCが一番小さくなりました。

町田市の財政状況を見ると、石阪市長は“将来負担を作らない事”を意識しているのだと感じます。

もし、今回の請願の内容である”小学校給食と同じような中学校給食”を実現するためには、給食センターの建設が必須だと考えます。(親子方式だと、今の小学校に中学生の分も作れるほどの設備があれば良いですが、そうでない場合には小学校給食を作る前に作るので早くに作って提供まで冷蔵保存になるでしょうから、これは請願の内容に適していないですよね。自校方式で各校に給食室を新設するとすると、ただでさえも部活動の場所が限られているのにこれ以上敷地内に建物増やすのは非現実的な学校が多いと思われます)

自校方式に比べるとセンターの方が安価に済むとは言え、こちらでもやはりセンターから運んだ食缶を保管する建物やスペースもすべての中学校に整えなければならないので、スペースの問題も気になるところです。(これは親子でも同じですね)

給食の事だけ考えればよいのならいいのですが、

グラウンドなどが狭くなったらそれはそれで子どもたちの体育活動や部活動に影響するはずです。

センターや保管スペースの整備に使った分、将来負担比率があがり町田が将来財政難になり学校の修繕工事なんかもできなくて困るかもしれません。

議員として、今の子どもたちの幸せを守る事は大切ですが、町田市の未来を守る事も大切です。

今、町田市では中学校給食の喫食率を上げる事に非常に力を入れております。

秋には、一日単位で一週間前までスマートフォンで申し込みができるシステムも導入しました。

私は、先ほど挙げた①~③の課題とそれに対する町田市の改善を見届けてから、請願の内容にある“小学校と同じような中学校の全員給食”を実現すべきかを判断しようと考えております。

 

当選前、私はこんな事を政策チラシに書いていました。

中学生 みんなが喜ぶ 給食に

現在は、給食を希望する生徒のみにランチボックス形式(弁当)の給食を提供しています。味や料金に関しての保護者アンケート結果は上々。しかし、利用
者はわずか15%…。頼まない理由は【給食時間・配膳について】が約23%。配膳方法を改め、時間に余裕を持たせることだけでも23%の子どもが給食を選
ぶ可能性があります。まずは給食を頼みにくい環境の改善を求めます。その上で、将来的には各校に給食センターを整備できないかも議論を進めていきま
す。また、衛生面でも問題が起きないように委託先の工場内をしっかりチェックしていきます。

現状、配膳方法を改める事に関しては取り組んでおりますし、給食を頼みにくい環境の改善も求めております。

現状のデリバリーお弁当給食の問題点が解決しない場合は、いくつかの学校の給食をまとめて作るセンターの整備ができないかを調査していく事になります。

各校にセンターを整備できないかと言う点については、当選後これまで中学校給食について調査をしてきた中で、今後の人口減で生徒数も減っていくことを考えると、今から新たに各校に給食センターを整備する事は財政的にも厳しく、グラウンドなどの場所を削ることにもなり子どもたちにも良い選択ではないと判断しました。

各校に給食センターを作ると言う、いわゆる自校方式について期待をよせてくださった方々、本当に申し訳ございません。

現状のデリバリーお弁当給食の喫食率が良くなり、中学生みんなが喜ぶ給食にできるよう、全力で調査を続け提案を続けてまいります。